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  • 【コラムNo.5】精神科訪問看護でできることって何?訪問看護との違いから気になる料金についても解説

訪問看護と精神科訪問看護との違いについてご存じでしょうか。
訪問看護と精神科訪問看護では特徴が異なるため、できることとできないことを知っておく必要があります。
それぞれの特徴を理解しておかないと、適切なサービスを受けられないかもしれません。
そこで今回は、訪問看護と精神科訪問看護との違いや料金について詳しく解説します。
症状に応じてサービスを選べるように、それぞれの違いについて確認しましょう。

精神科訪問看護とは

精神科訪問看護のサービスにより内容は異なりますが、精神科訪問看護で一般的に受けられるサービスについて理解することが重要です。以下では、精神科訪問看護の概要とできることについて解説します。

精神科訪問看護とは

精神科訪問看護とは、統合失調症やうつ病などの精神疾患を患った方を対象に、自宅で看護を受けられるサービスのことです。自宅で専門家の看護を受けられるため、通院と組み合わせて利用することで安定した生活を送りやすくするメリットがあります。精神科訪問看護を行う職員は、作業療法士や精神保健福祉士などの国家資格を所持しています。
精神科訪問看護は、精神疾患の方が安心して自立した生活を送ることを目的としています。健康的な生活を送り、職員と相談しながら治療に専念できます。

精神科訪問看護でできること

精神科訪問看護は、治療だけが目的ではありません。下記が精神科訪問看護でできることです。
精神科訪問看護

  • 生活技能の訓練
  • 人間関係の構築
  • 精神状態の安定化
  • 日常生活の維持
  • 家族関係の改善
  • ほかのケアとの連携(社会資源の活用)

精神科訪問看護は、社会復帰や健康回復、症状の悪化防止などを目的としており、さまざまなサポートを行います。健康回復の訓練だけでなく、職員に相談もできるため精神的に安定する方もいます。
精神科訪問看護は、本人が受けられない場合にも対応しています。本人が精神科訪問看護を受けられない場合は、家族と職員が相談して精神患者の症状の回復を目指します。
精神科訪問看護は、普段生活をしている自宅でサービスを受けられるのが最大のメリットです。外出が難しい方でも、安心しながら治療に専念できるため不安を感じないでしょう。

精神科訪問看護の対象疾患

精神科訪問看護の対象疾患はいくつかあるため、どのような症状の方が対象となるかを確認しましょう。

うつ病

うつ病の主な症状は、気分が極端に落ち込んだり何事にも興味がなくなったりすることです。今まで楽しめていたことでもうつ病になると、不安や落ち込みがひどくなり何も行動を起こせなくなります。
うつ病を治すには、薬物療法や精神療法、環境調整などを行う必要があります。うつ病の疑いがある方は、精神科訪問看護や病院の専門医に相談しなければいけません。抑うつ状態を放置すると、自殺未遂を行う方もいるため早期対応が必要です。

統合失調症

統合失調症の主な症状は、極度な不安や緊張を感じて幻覚や妄想をみることです。重度の統合失調症の場合は、一人で日常生活を送れない場合があります。統合失調症は不安に感じるだけでなく、行動や思考の異常、やる気や感情の低下などさまざまな症状を引き起こします。
統合失調症を治すには、薬物療法やカウンセリング、精神療法などがあります。統合失調症は、うつ病と同様に早期の発見が重要です。統合失調症の症状を確認した際は、専門医と相談することで症状を早期に防止できます。統合失調症を重症化させないためにも、家族のサポートが重要といえます。

アルコール依存症

アルコール依存症の主な症状は、自律神経の不安定やアルコール幻覚症などです。アルコール依存症でも、日常生活を普通に送れている方もいるため、素人による判断では難しいです。アルコール依存症がひどくなると、幻覚が見えたり手の震えが止まらなかったりするため、社会生活に適応できなくなる場合があります。
アルコール依存症を治すために、自分自身の意志でお酒を断つ方が多いですが、完全に治すのは難しいといえます。アルコールは精神作用物質であり、適切な治療を行わないとアルコール依存症を繰り返します。専門の医師に相談して、適切な処置をすることが求められます。

双極性障害

双極性障害は、イライラしたり憂鬱な気分になったりを繰り返すことが主な症状です。双極性障害の特徴は、元気なときと落ち込んでいるときが極端に違う点です。

うつ病と似た症状ですが、少々異なります。双極性障害は元気な状態のときもあるため、障害かどうかの判断は素人には難しいです。衝動的な行動を起こし、時間が経つと気分が落ち込むなど、双極性障害の疑いがある場合は専門家に相談する必要があります。薬物治療や精神療法、電気けいれん療法が双極性障害の治療法です。服薬で気持ちが落ちつくこともありますが、継続的に治療を行わないと再発する可能性が高い障害です。

精神科訪問看護と訪問看護について

精神科訪問看護と訪問看護は、業務内容が異なります。業務内容を知ることで、どちらのサービスを受けるべきかを理解できます。

訪問看護とは

訪問看護は、看護師などの資格を持つ人が訪問して患者の療養を行います。訪問看護の主な業務内容は、血圧や体温の検査、医師の指示による医療処置、薬の相談、在宅でのリハビリ、食事やトイレなどの介助などです。訪問看護は病気や症状に関係なく、訪問看護を必要とする方はどなたでもサービスを受けられます。

精神科訪問看護と訪問看護との違い

精神科訪問看護と訪問看護は、症状の部位が身体か、精神状態かの違いです。訪問看護は、身体に異常がある方が利用します。精神科訪問看護は、精神状態が原因で上手く生活できない方が利用します。どちらも自宅でケアを行える点は同じですが、原因や症状により受けるべきサービスが異なります。

精神科訪問看護の利用頻度

精神科訪問看護の利用頻度は、精神疾患の症状や状況により異なります。基本的には週に3回までしか利用できませんが、症状が重い場合はそれ以上も利用可能です。週に4回以上利用する場合は、適応条件があるため専門医に相談しましょう。

また、訪問時間も病気の症状により異なります。精神科訪問看護の利用時間は、1回30分~60分であることが多く、サービスを受ける時間内に病気の相談や私生活の介助などを受けます。サービスを受ける時間が短すぎると、適切なケアが行えない可能性があるため、訪問サービスの職員と相談して適切な時間を決めるのが望ましいです。

精神科訪問看護の料金

精神科訪問看護の料金は、サービスの時間が30分未満なのか30分以上なのか、週に何回受けるかにより、1回あたりの料金が異なります。また、医療保険が適用されるため、1割負担の方もいれば3割負担の方もいます。ただし、「自立支援医療制度」の利用を申請して認定されると、1割負担になります。さらに、所得に応じて月毎の自己負担上限額が設定されます。その他の助成により自己負担がなくなる場合もあります。

自立支援医療制度について

自立支援医療制度を利用すると、条件により費用を負担しなくてよい方もいます。自立支援医療制度の概要や、負担限度額などについて解説します。

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度のうち、「自立支援医療(精神通院医療)」が精神科訪問看護の費用を軽減する制度です。収入などの条件により、自立支援医療制度を受けられるかが変わるため確認が必要です。
精神科訪問看護を受ける際は、とくに自立支援医療制度を利用すべきです。精神的な病はすぐには完治せず、継続的に治療費を支払う必要があります。そのため、長きにわたり精神科訪問看護を利用すると費用の負担が大きくなります。精神疾患が原因で病院に通院する際の治療費は1割負担が基本になるため、上手く活用していきましょう。

自立支援医療制度の詳細

精神科治療に関する自立支援医療制度を受けられるのは、精神疾患を患った方に限ります。通院や薬代、精神科のデイケアなどが制度の対象であり、現時点で症状が消失している方でも対象になる場合があります。今後も治療が必要と判断された場合は、自立支援医療制度を利用できる可能性があるため相談してみましょう。
自立支援医療の対象となるサービスの場所は、病院や診療所、薬局、訪問看護ステーションなどが対象です。自立支援医療制度を利用できる場所がわからない方は、お住まいの地域の保健所に相談してください。

自立支援医療制度を利用した際の負担額

自立支援医療制度を利用した際の負担額は、基本的には1割負担です。しかし、収入に応じて負担割合が変わるため確認が必要です。たとえば、生活保護を受けている方は実質負担がないため、ゆっくり時間をかけて治療に専念できます。
また、患者の収入が1年間80万円を超えるかで、医療費の上限額が変わります。1年間の収入が80万円以下である場合は、月の上限が2,500円です。住民税が非課税である方で、年間の収入が80万円を超える場合は月の上限は5,000円です。
また、住んでいる地域により、医療費助成制度や国保受給者証などが適用されることがあるため、上限額が免除される場合があります。低所得者だけでなく、中間所得の方も住民税の納めている割合に応じて上限額が定められています。上限額が5,000円や10,000円などは収入により異なるため、どのぐらい負担すべきかを事前に確認しましょう。

自立支援医療制度を利用する流れ

自立支援医療制度の利用を希望する際は、まずはお住まいの地域の保健所に相談しましょう。申請に必要な書類などを教えてくれます。収入のある方は基本的には保険適用内での支払いになりますが、疾病が「重度かつ継続」の対象になった場合は自立支援医療制度を利用できます。該当するか否かは、医師の診断が必要です。
次に、主治医に自立支援医療診断書を作成してもらいましょう。自立支援医療診断書と収入を証明する書類等をもって保健所に行き、手続きを行う必要があります。保健所で手続きする際は、必要書類を揃えてから行きましょう。
手続きを無事に終えると、自立支援医療受給者証を受けとります。申請から自立支援医療受給者証を受けとるまで、地域によっては3か月以上かかることもあります。ただし、申請が受理されていればその時点から制度適用されますので、申請書の控えは大事に保管しておきましょう。

まとめ

今回は、精神科訪問看護でできる内容や料金について解説しました。精神科訪問看護を利用するには、どのような症状が対象なのかを事前に理解しておく必要があります。収入や症状により料金が異なるため、自立支援医療制度を受けられるかどうかも確認してください。