贈る言葉シリーズ〜利用者様の想い出(脳梗塞・パーキンソン病)
SORAのスタッフの心に残った利用者様の想い出をご紹介する
”贈る言葉シリーズ”。第29回です。
(利用者様について簡単なご紹介をお願いします。)
90代の男性です。3年半介入させていただきました。
介入当初は、奥様とお二人で仲良く暮らしてらっしやいました。
2年ほど前にお元気だった奥様が急にお亡くなりになり、
精神的にとても不安定になられることもありましたが、
お一人で頑張っておられました。
最後の数か月はほとんど寝たきりの状態でしたが、
奥様と一緒に暮らしたご自宅で安らかにお亡くなりになりました。
(最後の訪問時のご様子はいかがでしたか?)
転倒をきっかけに、呼吸苦や浮腫みの悪化があり寝たきりの状態でした。
ヘルパーさんが1日に数回入り丁寧にケアをしてくださり、
看護師も毎日の訪問をしていました。
そんな状態でしたが、
何年も前から意思の固かった「入院はしない、家にいる」ということを
この日もお話されていました。
「ありがとーー!ありがとーーー!!」と
先生やヘルパーさん、看護師に大きな声で感謝の気持ちを述べられており、
今思うと、残った力を振り絞って伝えてくださっていたのだなあと感じます。
(ご本人との想い出は?)
Kさんとの思い出は沢山ありすぎて、何を書こうか迷ってしまうほどです。
いつも看護師の訪問を心待ちにしてくださっていました。
「ありがとー!来てくれたのー!嬉しいよー!」と、
いつも泣きそうになりながらくしゃくしゃの愛らしい笑顔で迎えてくださいました。
Kさんはとにかく愛情深い方です。
多くのものに愛を注ぎ、それからたくさんの人や物に愛されていました。
Kさんの大好きなもの、思いつくものをいくつか挙げてみます。
・Kさんより先に亡くなられた奥様
とても朗らかな奥様で、大恋愛だったと聞いています。
奥様の作る卵焼きが絶品で、また食べたいなあと話しておられました。
・絵
若くして芸術の道に進み、優秀で、どの絵も素晴らしいものです。
「100歳展をやるんだ!」と、
動けなくなるまで、身体中インクまみれになってでも絵を描き続けようとしていました。
・釣り
奥様と一緒に、いろいろなところに釣りに行っていたそうです。
釣れた魚はじっくり見て、絵にも描いておられました。
自宅には釣りの雑誌と、一番得意な鮎の絵がたくさんありました。
何より、近所の方や関わるスタッフ皆が「会いに行きたい」と思うような、
優しく 温かく 愛らしい お人柄でした。
今でもKさんの家の前を通ると、なんだかそこで待っていてくれるような気がします。
(ご本人、ご家族にお伝えしたいこと)
沢山の大好きな思い出が詰まったお家で最期を迎えられたこと、
本当に良かったと思います。
持病のパーキンソンによる体の動きにくさや、視力の低下もあり、
思う様に描いたり見たり出来ないのが悔しいと話されていました。
天国では、そこから解放されて大好きなことを思いっきり楽しんで欲しいです。奥
様にも無事に逢えている頃でしょうか。
いつまでも優しい笑顔を忘れません。
長い間ありがとうございました。
そして、ゆっくり休んでください。