在宅療養コラム～終末期ケア（ターミナルケア）編その１
在宅療養コラムでは、「パーキンソン病」「認知症」について連載をしてきました。
「在宅療養コラム」まとめ
今回は「最期まで自宅で暮らすということ」をテーマに、終末期ケア（＝ターミナルケア）の実際を紹介していきます。
【目次】
第１回「終末期への備えと心構えについて～本人の視点と支援者の視点から～」
第２回「最期まで自宅で暮らすという選択をした人への関わり」
第３回「終末期を迎えた方へのリハビリ」
【終末期への備えと心構えについて～本人の視点と支援者の視点から～】
～終末期の定義～
全日本病院協会の『終末期医療に関するガイドライン』によって以下のように記されています。
- 複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
- 患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
- 患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること
本人と関わる全ての人が自然な死に向かうことを予測・理解し、その状況に納得した時から終末期は始まります。
～終末期ケア（ターミナルケア）とは～
「終末期」は病気によるものだけではありません。
老衰などの自然な死へのプロセスも、終末期と言えるでしょう。
終末期ケア（ターミナルケア）は、
- 延命を目的とした治療をしない
- 身体的・精神的な苦痛を除去する
- 生活の質(QOL)の維持・向上を目的とする
自分らしく最期を迎えられるように、
本人と支援者全員で最良の方法を考えていくことが終末期ケア（ターミナルケア）の根本です。
～終の棲家を考える～
多くの方が「最期は自宅で」を望んでおられます。
しかし実際は病院や施設で最期を迎える方が多いことが現状です。
では、「最期まで自宅で暮らすこと」に必要なことは何でしょうか。
- かかりつけ医、家族、ケアマネージャー、看護師、ヘルパーなど関わってくれている人達にその希望があることを伝える
- 独居の場合、排泄や入浴、更衣、食事、清潔ケアなどの日常生活動作をサポートしてもらえる環境を整える
- 家族が主介護者となる場合、慣れない医療的ケアを家族に習得してもらわないといけないことがあるため、
家族の体調やサポート可能な状況を確認しておく
これらのあらかじめの作業は、終活ノートやエンディングノートを作ることに近いのかもしれません。
ここで大切なのは、家族や支援者がその意向をきちんと理解していることです。
本人の意向を全員が共有できていないと、望まない治療を開始してしまう可能性が大いにあります。
自分の最期について考えることは怖さや寂しさが伴いますが、
怖がらずに普段から自分の人生の価値観や最期の迎え方の希望を話しておくことが大切です。
また一概に、病院での最期と自宅での最期どちらが良いとは言い切れません。
それぞれの人のニーズや価値観、その時の病気の状態や苦痛の度合いにもよります。
意思決定は、何度でも変えることができるし、何度でも話し合うことが大切です。
～家族や支援者が考えること～
人生の最期についての話は、話すタイミングが難しかったり、話題にしにくい雰囲気があるかと思います。
現在タイミングとして多いのは、
「病気の進行に伴い、死期が近づいているとき」「治療方針が大きく変わった時」という統計がでています。
- 人生の最終段階にあるかどうかに関わらず、普段の会話や診察の中で話し合う
- 怖がらずにいつでも話せる雰囲気を作ること
- 本人の嫌なこと、好み、大切なこと、価値観、人生観、死生観を示す発言やエピソードを把握する
- 把握した発言やエピソードをできるだけ言葉そのままに記録し、把握した場面も分かるような記述を添える
- 記録は必要な時に共有できるように準備しておく
- 家族が行うケアを一緒に確認し、家族も安心して過ごせるようにサポートする
- 独居の場合、見守り体制の強化、一人でも連絡できる手段の確保などを行う
「あらかじめの意思決定」は何度でも変更できるし、何度でも話し合って受け入れることが大切です。
本人を支える人たちも安心して寄り添えるよう、普段から細やかな情報共有や連携を行っていきましょう。
次回は「最期まで自宅で暮らすという選択をした人への関わり」を紹介します。
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今回紹介した内容は、ACP：アドバンス・ケア・プランニング と呼ばれています。
もっと詳しく知りたい方は下記リンク厚生労働省HP（ACPについて）をご参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html
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参考
日本終末期ケア協会『ターミナルケア（終末期医療）』
全日本病院協会『終末期医療に関するガイドライン』
