ゆるり精神科訪問看護~クライシスプラン編
SORAには精神疾患を抱える利用者様も数多くいらっしゃいます。
お子様~高齢者まで年齢も、お悩みも様々です。
そんな利用者様たちと看護師のかかわり方をご紹介する ”ゆるり精神科訪問看護”。
精神科訪問看護と聞くと気構えてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、ここではかしこまらずに”ゆるり”と読める・知れる情報をお伝えしていきます。
自分の症状に気づくのがむずかしく、頑張りすぎてしまう方、症状が安定しない方へ
【クライシスプランの作成】
クライシスプランとは、
「自分の調子が悪い時はどういう時?」
「調子が悪い時の対処法は?」
「支援者にしてもらいたい対応は?」
といった患者さんそれぞれの「病状悪化のサイン」と、その対処方法などを一覧表にしたものです。
クライシスプラン使用に特におすすめの方
・症状の波がある方
・自分の症状に気づきにくい時がある方
・就労など新たなチャレンジをしたい方
・病状悪化を防ぎたい方
・具合が悪いときにどうしたら良いか分からない方
こちらはクライシスプラン用紙の一例です。
(参照)住友ファーマ医療関係者向けサイトより 医療者は無料でダウンロード可能

病院で既に作成されている方もいらっしゃるかと思います。
その場合は既存のものを使用しながら、生活の中でアップデートしていきます。
クライシスプランを作成する上で大切なのは、「利用者様本人と共につくっていく」ということです。
一例として上記のものを挙げましたが、形は様々であり、利用者様にフィットしたものを使用していきます。
最近はその日の気持ちを日記や絵文字で記録するスマホアプリなどもあります。
クライシスプランの良いところ
・「症状を視える化」することで、対処法が明確になり、スムーズな対応につながる。
・具合が悪く、自分自身では対処しきれない時に、あらかじめ支援者の対処方法を決めておくことで本人の希望を尊重することができる。
・主治医への症状の報告がより詳細なものとなり、自分に合った治療を受けやすくなる。
上手く自分で伝えられない場合は、クライシスプランを元に看護師と一緒に受診メモを作ったり、必要時には看護師と病院が直接やりとりをして受診のサポートを行なっています。
以下では、起こりえるストレスの原因と対処方法の一例を挙げてみます。
ご自身では気づきにくい部分のサポートになればと思います。
病状悪化に関するストレスの例
身体面:体の病気 疲れ 睡眠不足 痛み
心理面:不安 恐れ 劣等感 焦り
社会面:人間関係 役割 初めての場面 孤立
経済面:お金がない 急な出費
家族面:家族の病気 家族関係 就職や自立の圧力
その他:気温(暑さ・寒さ) 引っ越し 騒がしい環境
対処(行動系)
・散歩▶お部屋からでるだけでも思考のループから抜け出せることがあります。
・好きな音楽を聴く▶音楽に乗って身体を揺らしてみるとさらにgood。
・読書▶本に触れるだけでもOK、絵本もおすすめ。
・意識してのんびりする▶のんびりしてもいい時間だと感じることが大切。
・リラクゼーション(呼吸法、ストレッチなど)▶体の力を抜きましょう。
・支援者に相談、気持ちを話す▶話しにくかったら、紙に書きだすだけでもOK。
対処(認知系/考えること)
・楽しかった記憶や安らげる場所を思い出す▶今の自分が幸せな自分から繋がっていることを認識し、自己喪失感を和らげます。
・「最低限で良い」と考えるようにする▶エネルギーがあるときに、最後までやり遂げましょう。
・ストレスについて、自責・他責になりすぎないようにバランス良く考えようとする▶自己嫌悪をしすぎても、他人のせいにしすぎても、いい解決方法は見つかりにくいです。
・とりあえず、問題を棚上げにする▶そして休む、眠る。「とりあえず今はいっか♪」の精神は意外と必要です。
★おわりに
大切なのは、自分の辛さや悲しみの底で何が起こっているのかを気づくこと、それを表に出して、サポートを受けながら自分で対処できるようになっていくこと です。
時々、「元気になったら、看護師さんたちは離れて行ってしまうんでしょう?」と不安を伝えて下さる方もいらっしゃいます。
私たちは、あなたが望む限り訪問を続けていきます。
元気な時でも、落ち込んでいる時でも、いつも通りに訪問を続けます。
たくさん思いの詰まった言葉を伝えていただけると、私たちもサポートの方法が見えてきますし、あなた自身の気づきにも繋がっていきます。
どれもこれも、焦らずゆる~りと、進んでいきましょうね。