贈る言葉シリーズ〜利用者様の想い出(脳梗塞後遺症・認知症)
SORAのスタッフの心に残った利用者様の想い出をご紹介する
”贈る言葉シリーズ”。第38回です。
(利用者様について簡単なご紹介をお願いします。)
90代前半の男性で、集合住宅にお一人で暮しておられました。
脳梗塞の後遺症があり、認知症も進んでいましたが、直近までラジオ体操に自ら参加されるなど、活動的に過ごされていました。
その分、訪問時間にご不在だったりすることも多く、周辺を捜索して見つけたり、再訪問してようやくお会いできたりすることもありました。
看護師が最後に訪問した数日後に転倒して救急搬送され、回復を待っていましたが数か月後に病院でお亡くなりになりました。
(最後の訪問時のご様子はいかがでしたか?)
当日はヘルパーさんより「普段と様子が違う」と連絡があり、状態確認のために臨時で訪問しました。
ご本人は落ち着かないご様子で「頭が回らなくなっちゃった。救急車呼ばないと。」と仰られ、フラフラするとの訴えが聞かれていました。
以前にも脱水で不調をきたしていた経緯があり、症状から見て同様の状態を疑い、水分補給の促しと室温調整をして対応しました。
少しずつ状態も落ち着き、最後はお買い物へ行きたいとお話しがあったため、念のため同行し、マンションまで見届けました。
次週また定期訪問で伺うことをお伝えすると「ありがとうね。お願いします。」と手を振ってエレベーターへ入られていきました。
(ご本人との想い出は?)
山形出身の方で、いつも優しい方言でお話しされるのが印象的でした。
自ら積極的にお話される方ではありませんでしたが、地元山形の果物やお水が美味しいこと、
温泉の多い地域に住まわれていたため自宅のお風呂ではなく毎日入る温泉を変えていたことなど故郷のお話を色々と聞かせて下さいました。
最後にお会いした日も「山形へ行ってきたんですよ。」とお話しすると、「本当!遠かったでしょ。どの辺に行ってきたの?」と表情がパッと変わる様子があり、故郷のことになると普段よりも少しだけ饒舌になる、柔らかい笑顔が浮かぶそのご様子がとても好きでした。
(ご本人、ご家族にお伝えしたいこと)
90歳を超えてなお、お一人での生活を続けられ、毎日のように外へ出て過ごされていたお姿は、本当に尊敬しています。
一緒に過ごした時間や暖かく語って下さった故郷のお話を、これからも大切に心に残してまいります。
どうか安らかにお休みください。
心より御冥福お祈りいたします。
