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訪問看護リハビリステーションSORAのブログ

在宅療養コラム~大腿骨頸部骨折と腓骨神経麻痺

SORAのスタッフは、毎年それぞれの興味やスキルなどに応じて自ら研修計画を立てて自己研鑽しています。
そこで、このコラムでは各人が研修で学んだことをみなさんにお伝えしていきます。

第一回は理学療法士のNが担当します。
テーマは【大腿骨頸部骨折と腓骨神経麻痺】です。

はじめに

訪問看護では、大腿骨頸部骨折を経験されリハビリ病院での治療後、在宅でのリハビリを希望される方が多くいらっしゃいます。
今回は大腿骨頸部骨折とそれに伴って出現することがある腓骨神経麻痺についてお話させていただきたいと思います。
今回このテーマを取り上げたのは、新たに介入した大腿骨頸部骨折術後の利用者様に腓骨神経麻痺症状があり、それは私にとって久しぶりの症例だったためです。

大腿骨頸部骨折とは?

大腿骨は両足にある股関節に近い部分を構成する長い骨です。
大腿骨の前面は滑らかで、背面は中央部に粗面と呼ばれる盛り上がった線が通り多くの筋肉が付着しています。
大腿骨には大腿骨頭と呼ばれる部位があります。
それは大腿骨の上端にあり、内側上方に突出した球状の形をしています。
その大腿骨頭と骨幹部との間を大腿骨頸部と呼びます。

加齢によって骨粗鬆症などがみられ、大腿骨の付け根に近い場所が弱くなってしまうことがあります。
そのため、転倒など強い力が加わると大腿骨頸部や転子部の骨折を起こします。

大腿骨頸部骨折重症度の分類

頚部骨折の重症度の判定にはGarden の分類が用いられます。
Gardenの分類は4つのステージに分類されます。

・ステージ1は不完全骨折で骨性の連絡が残存しているもの。
・ステージ2は完全骨折で転位のないもの。
・ステージ3は完全骨折で転位しているが軟部組織の連絡が残っているもの。
・ステージ4は全ての連絡が断たれて、完全に転位した完全骨折しているもの。
この場合は人工骨頭置換術が行われることが多いです。

リハビリの内容

術前のリハビリとして、腓骨神経麻痺を回避するために良肢位の保持、大腿四頭筋収縮練習、抹消循環障害と尖足予防のための足関節運動が行われます。

術後は、端座位練習から開始し、部分荷重の立位練習を行います。
立位を保つようになってから、歩行補助具を使用して歩行練習を実施します。

 

腓骨神経麻痺とは?

腓骨神経は、膝関節の後ろで坐骨神経から枝分かれした神経です。
膝下の外側にある腓骨という骨の上後方を通っています。

 

麻痺の症状は、膝から下の外側が足首にかけて感覚の低下がみられ、しびれもみられるようになります。
足の背屈(つま先を上げる運動)ができなくなり、下垂足(つま先が常に下がっている状態)が出現します。

骨折治療のため長時間の仰向け姿勢が続き、足が外側に捻った状態でいると腓骨神経の長時間の圧迫が起きます。
この事が原因で、膝の外側にある腓骨神経が外部から圧迫され、麻痺症状が現れると考えられています。

大腿骨手術前の腓骨神経麻痺対策

腓骨頭の外側からの圧迫により末梢神経麻痺が生じやすくなります。
大腿骨の骨折受傷後は臥床中に下肢が外旋位をとりやすいので腓骨頭が圧迫されます。

腓骨神経麻痺の予防には下肢のポジショニングが大切となります。
具体的には大腿部の裏側とふくらはぎの裏側にクッションを置き、腓骨頭周囲が圧迫されないようにします。
また、下腿外側から足背にかけて感覚障害が生じるため、筋力低下と感覚障害の評価を適宜おこないます。

リハビリの内容

下垂足の症状がある場合、短下肢装具を使用して歩行練習を行います。
足関節が固定されるため、荷重した際のバランスや歩行パターンに慣れるための練習が必要になります。
足関節の固定をわかりやすく例えるとスキーブーツを履いて歩いている感覚に近いと思います。

また、骨折していない足も運動機会が減っており、筋力低下がみられます。
そのため、筋力トレーニングは両足ともに行います。
歩行練習が開始されれば、歩行バランスの改善と歩行持久力向上を目標にし、日常生活での必要な屋外歩行能力の獲得をめざします。

 

まとめ

腓骨神経麻痺の回復は、完全麻痺の場合、回復は難しいと報告されています。
また、回復期間も長期間となりやすく、平均期間は10.8カ月との報告もみられました。

日常的な移動が、腓骨神経麻痺の患者様にとって大きな問題となります。
わずかな段差であっても足先が上がらず、つまずく恐れがあるため、モモを大きく上げて移動することになります。
自宅内での移動は、装具装着に時間がかかるため、足部サポーターのように簡易な補助具で対応されることもあります。
ご本人の負担を考慮しながら、福祉用具の使用も検討します。

大腿骨頸部骨折後の全ての方が腓骨神経麻痺を発症するわけではありませんが、麻痺症状への適切な対応を検討しなければなりません。
そのため、知識や治療方法など定期的な情報収集が必要となります。

 

<参考文献>
日本整形外科学会ホームページ
河野俊介,他 :人工股関節全置換術後腓骨(坐骨)神経麻痺合併症例の検討. 整形外科と災害外科.
松村淳,他 :大腿骨近位部骨折の術前リハビリテーション治療の実際と課題.
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine.
赤坂清和,他 :大腿骨頸部・転子部骨折の分類と理学療法の注意点. 埼玉理学療法.

 

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