在宅療養コラム~高齢者の栄養支援
SORAのスタッフは、毎年それぞれの興味やスキルなどに応じて自ら研修計画を立てて自己研鑽しています。
そこで、このコラムでは各人が研修で学んだことをみなさんにお伝えしていきます。
今回は看護師のTが担当します。
テーマは【高齢者の栄養支援】です。
はじめに
私は色々な利用者様と関わる中で、高齢者の栄養管理について興味を持ち、今回少しずつ学習を深めようと思い、このテーマを選択いたしました。
今回は下記の①~④に分けて学習を行いました。
- 高齢者の身体的特徴 ~オーラルフレイル~
- 高齢者の栄養管理の課題
- フレイルの位置づけと流れ
- 高齢者への栄養支援
高齢者の身体的特徴
加齢は誰にでも起こる変化でスピードには個人差があります。
昨今、注目されているのは「オーラルフレイル」であり、状態としては噛めない、飲めない、滑舌が悪いなどが挙げられます。
それに伴って、経口摂取量が減少すると、口腔内でも廃用性変化が起こります。
食べ続けるための重要なポイントとしては、歯の状態、舌の運動、会話の状態を観察するなどです。
「オーラルフレイル」のチェックポイント
・義歯が合わない。
・柔らかい物ばかりを摂取する。
・喉にひっかかる感じがある。
・口腔内で食べ物をうろうろさせている。
・声が聞き取りづらい。
支援者として。。。
高齢者の臓器別変化を理解した上で、加齢によるものなのか、疾患が影響しているのかの確認が必要になります。
必要以上の制限や投薬は食事摂取に大きな影響を及ぼし、身体的フレイルの進行を助長させてしまいます。
高齢者の栄養管理の課題
生活環境の変化
高齢独居は年々増加傾向にあり、調理の問題など、一人では食事を摂取しにくい環境となっています。
簡単に済ませようという思考になり、栄養が偏ってしまう状況にあります。
栄養管理上の問題
・「一人だったら簡単に済ませよう。」
→おにぎり、パン、麺などの炭水化物が主となってしまいます。
エネルギー的には、しっかり摂取できていますがたんぱく質が不足して、サルコペニア肥満という状況に陥ってしまいます。
・「高齢者用宅配を利用しよう。」
→高齢者用の宅配弁当自体はそもそもエネルギーが少ない。元気な高齢者にはエネルギーが不足しているケースが多いのが現状です。
また、三食は値段が高いので、二食に分けて三回分摂取する方もいらっしゃり、なかなか宅配弁当が浸透するのが難しい状況となっています。
・「薬でお腹いっぱいになる。」
→栄養摂取不足に陥りやすい状況にあります。
フレイルの位置付けと流れ

上の図は、健康→プレフレイル→フレイル→要介護の流れとなっています。
健康な場合は大丈夫ですが、プレフレイルの状態は包括センターであったり、ケアマネージャーさんであったり、医療にくる前の段階で介入する必要がでてきます。
本来ならば、そういった方たちに適切な栄養管理を届けるとフレイルになる前に健康に戻せたり、プレフレイルの状態を維持できるのかもしれません。
これが進行してフレイルになってしまうと要介護までは時間の問題ではないかというような状況だったり、少しでも自立した生活を送るためににはプレフレイルの状態で介入することが必要になってきます。
高齢者の栄養支援
高齢者の体水分量の問題
成人と比較すると、およそ体重の10%が喪失している状態にあります。つまり脱水になりやすい状況ということです。
通常の成人だと約60%が水分で出来ていると言われており、比較すると、高齢者は約10%の水分を喪失していると言われているため、体重の約50%が体水分量になります。
この体水分量が約40%台になると、人は体調を崩します。つまり、水分不足になるとすぐ脱水になる、これが高齢者の特徴です。
トイレが近くなる、飲む習慣がない、お腹がいっぱい、などさまざまな理由で水分を摂らなくなるとすぐ脱水になってしまいます。
水分は体内に蓄積するカフェインレスの飲料や水を飲みましょう。
痩せさせない
運動をしながら体重を維持するためには、通常よりも多くのエネルギー摂取が必要になります。
通常の食事に加えて、1日約200キロカロリー多く摂取すると、ひと月で約6000キロカロリー摂取できます。
この6000キロカロリーというのは、体重あたりでいうと約1キログラム弱、増えることになります。
ひと月で6000キロカロリー多く摂取して、体重が増えれば運動不足を意味し、体重が減少したら、さらに投与エネルギーを増やすことを検討し対応する必要があります。
最後に
日々、利用者様と関わる中で疾患にばかり目が行ってしまい、口腔内のトラブルに気づかなったりすることもあったため、日頃から口腔内を観察項目に入れて関わっていきたいと思います。
食べる=口腔内の健康が大切になってくるので、私たちも日頃から、う蝕(むし歯)の有無の治療や歯周病予防を行い、口腔内(歯)にお金を惜しまず、健康な状態を維持していくよう心がけていきます。
また、訪問をしていて、脱水の利用者様の看護をする機会は多いので、脱水の症状などを都度お伝えしながら、気を付けていただくよう関わっていきたいと思います。
皆さまが健康で食事が美味しいと感じる毎日でありますように。
参考文献:
栄養治療専門療法士 朝倉 之基氏 「高齢者の栄養サポート」
東京都医師会HP 「フレイル予防」https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty